ル・コルビュジエもうひとつの顔 ル・コルビュジエ版画展
Another face of Le Corbusier - Print works by Le Corbusier
2005年9月1日[木]〜30日[金]
Sept.1-30, 2005
ただの彫刻家、ただの画家、ただの建築家、というものは存在しない。造形的事象は、詩想の働きにより、ある「全体像」のもとに結実する。(著書「造形作品ー絵画・デッサン・建築」)
20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエは、集合住宅や都市計画など、新しい理念の導入により、近代建築の基礎を築きました。細い柱群に箱を乗せたようなサヴォア邸やコンクリートを有機的なフォルムに仕上げたロンシャンの教会堂、あるいはLCシリーズと呼ばれるパイプと革を使った椅子などは、目にする機会も多いことでしょう。
ところでル・コルビュジエが建築家である一方で画家として活動していたことは、あまり知られていません。彼は、絵画を「感覚器官および精神に歓びを与えるもの」として、絵画等の造形活動に、建築家の余技、あるいは気晴らしのような副次的なものではなく、情熱を持って取り組んできました。機能主義的な合理性を説く一方で、「感動を与える建築」をめざした彼の作品が、どこか人間臭く、ぬくもりが感じられるのは、絵画制作により培われた人間に対する深い洞察があったからではないでしょうか。
本展では、ル・コルビュジエの没後50周年を記念し、「直角の詩」や「モデュロール」といった代表的な版画作品を通して、画家としてのコルビュジエの偉業にスポットを当てたいと思います。